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基本情報

プレイ人数:2名以上

ルール把握難易度:8(1~10まで)

所要時間:フル・プレイ:12時間以上
     テスト・プレイ:3時間以上
最低プレイ時間:5時間

ゲーム紹介
 背景:WW2、独ソ戦42年、ブラウ&ウラヌス、PPGシステム、ビッグ・ゲーム、マップが広い。

ルール把握者:緒方・張

保管場所:本郷
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DoSのリプレイ記事

「Drive on Stalingrad」(SPI版)

 この記事を書いた者は、ウォーゲーム・プレイ時間100時間のほんの初心者です。これまでは、対戦してくださる方が見つからなかったこともあって、ウォーゲームにあまり深く携わることができませんでしたが、今後は定期的にウォーゲームをプレイし、そのリプレイ記事、ゲーム紹介を連載で会報に載せたいと考えております。

 今回取り上げるのは、ウォーゲームの中でも、プレイしやすいビッグ・ゲームとの呼び名の高い「Drive on Stalingrad」です。人々の生活がますます時間に支配されるようになったのだろうか、最近はこのようなワン・プレイが10時間を超えるビッグ・ゲームはまったく流行らず、我が戦史研究会でも、現役会員のほとんどはビッグ・ゲームをやりません。しかし、複雑なルールと壮大なスケールを持つビッグ・ゲームには、シンプルなウォーゲームでは到底試されない戦略眼や作戦手腕が発揮できるのです。そのおもしろさを伝えたく「ドラスタ」を取り上げることにしました。

ドラスタの描く戦場
 42年6月28日より始まった、カフカスまで直線距離800kmを駆け抜けた枢軸軍のブラウ作戦から12月19日に終了した第二次世界大戦の転換点となったソ連軍のウラヌス(天王星)作戦までの、枢軸軍112個師団(うちドイツ軍師団47個歩兵師団、19個機械化師団)、ソ連軍209個師団・19個戦車軍団が参加した死闘を追体験できます。ただし、相当慣れていても、このゲームを最後までやるには15時間は必要です。

システム
 ドラスタは、PPG(パンツァーグルッペ・グーデーリアン)システムをほぼ流用していますが、全く同じではなく、ドイツ軍機械化部隊の同一師団効果がユニットの個数にまで及び、3個同一師団が一つのスタックとしてオーバーランしたり、攻撃したりできるのです。そのため、ドイツ軍のオーバーランはPPGと比べて遙かに使えるものとなりました。しかし、多用は今回のリプレイでも分かったように、オーバーランの多用は回復の効かない機械化部隊の損耗となります。ドラスタの特徴と言えば、サイコロの目と獲得VP数で毎ターン毎ターンころころ変わるヒトラー命令が悪名高いですが、これはヒストリカルな展開をプレイヤーが心がける時にしか本来の価値を発揮しないといえるでしょう。ほかにも、トラック補給ルールやドイツ軍の航空補給ルールなど、補給が混雑すぎてオーバーワークになりがちだという批判もあります。また、枢軸軍のZOCを完全に無視できるソ連軍の戦略的撤退(ZOCから離れるというだけではない、ZOC to ZOC移動ところが、ドイツ軍のZOCを無人の野を行くが如く自由に移動できるのです)も個性的です。

初期配置における第4装甲軍(左)と第6軍前面(右)。ご覧のように両方で移動コストがもっとも小さいコース上に存在する赤軍部隊はU-8の一個ユニットだけである。

リプレイ(枢軸軍:筆者、ソ連軍:O氏)

枢軸軍作戦方針
 第1ターンでは、史実通りドイツ軍は戦線の北半分(第4装甲軍・第6軍)をしか動かせず、第1装甲軍・第17軍は第2ターンから使用できます。
 第4装甲軍には3個機甲師団・3個自動車化歩兵師団が、第6軍には2個機甲師団・1個自動車化歩兵師団が所属していますので、3個のフル・スタックの機甲部隊が組織され、3本の矢のようにソ連軍前線に大穴をあけることができます。直後のソ連軍ターンでソ連軍師団が30個登場(登場した後に移動・攻撃ができるから、増援が沸いてくる都市・鉄道ヘクスの占領も重要です。)しますので、第1ターンで、ドイツ軍がどこまでソ連軍を追い込めるかが勝負となります。私は今回の対戦を前に第2ターンまでの緻密な作戦計画を建ててO氏に挑みました。

第1ターン
対戦相手のO氏が紳士的にも、ヴォロネジ前面にスタックせずにソ連軍ユニットを配置してくれましたので、ご好意に甘えて2個機甲スタックで丸ごと蹂躙した(3個機甲師団の攻撃力は48で、オーバーランで半減しても24であるのに対して、ソ連軍歩兵の平均防御力は4.7で、4:1攻撃で半分の確率でオーバーランが成功します。)上で、機甲部隊が開けた穴から、歩兵部隊が進出して突破口を拡大させます。機械化移動フェイズで機械化部隊をさらに移動させてヴォロネジとドン河西岸のソ連軍補給地点も制圧してソ連軍増援部隊の進路を塞がります。南部の第6軍も突破成功後、機械化移動フェイズに一個自動車化歩兵でソ連軍の鉄道線を切断しつつ、歩兵部隊が北進して第4装甲軍と連絡する構えとなり、ソ連軍4個軍15個師団をポケットに入れる形勢になります。このように第1ターンの枢軸軍フェイズにして空前の大勝利の様相をに帯びました。

第1ターン枢軸軍ターン終了後の第4装甲軍・第6軍。ヴォロネジ・ソ連軍の地図北端に存在する増援登場へクスがそれぞれ一個自動化歩兵師団によって占領されたことに留意して下さい。なお、この時点で、筆者はポケット内のソ連軍を完全に拘束したと勘違いをしていました。

しかし、思わぬアクシデントが起きます。強ZOCのこのゲームにあって、ソ連軍にのみ認められた戦略的撤退というボーナスは、なんと枢軸軍の全ZOCを無視して東・北東・南東の方向に移動できるというものでした。せっかく包囲したソ連軍であっても、やすやすと包囲網から逃れてしまうのです。私はルールブックを熟読したつもりであったが、このZOC無視をただのZOCからの離脱と勝手に読み換えてしまったため、まさに晴天に霹靂でした。しかも、枢軸軍歩兵の包囲網を逃れたソ連兵はなぜかやや進出したドイツ機甲部隊の後方でストップして機甲部隊の補給を切ることができてしまったのである。結局、ポケットの中に残ったのは5個師団にすぎなかった。さらに、ソ連軍は30個師団の増援の大部分を北部に集中させ、ヴォロネジの半分を奪還して、ドン河沿いに第2戦線を設置しました。南方については多少の増強はあったものの、ロストフ前面は軽視された。


第1ターンソ連軍ターン終了後の有様です。包囲網から逃げ出したばかりか、突出した枢軸軍の機甲部隊の補給をも切っています。でも、ヴォロネジに篭城する第3自動化歩兵師団は地形効果(混合地形で防御力3倍)と航空補給のおかげで、ソ連軍は第3自動化歩兵師団に手が出せません。

第2ターン
ここで第2ターンを迎えます。このターンからソ連軍の増援は5~10個師団と多少落ち着きますので、ドイツ軍はソ連軍部隊のせん滅に重点を置きます。第4装甲軍は自力で後方のソ連軍部隊を除去し、機械化部隊と歩兵部隊がふたたび同じ作戦平面上に並びます。第6軍は後方の歩兵がまだZOCに拘束されていないこともあって、簡単に機械化部隊に追いつきました。一方機甲部隊は第1ターンに撤退したソ連軍部隊を再び包囲し、今度は移動力の関係で絶対に包囲網から脱出できないように包囲網を形成した。そして、南部でも戦火が燃え栄えます。ロストフ前面のひ弱なソ連軍部隊をみた枢軸軍は第1装甲軍所属の3個機甲師団の所属を急遽第17軍に移し、オーバーランでロストフ全面のソ連軍戦線を完全に突破して開始第2ターンにして移動フェイズのうちにロストフを占領してしまいます。しかし、うまく行きすぎたせいか、目の前に広がったソ連軍の影がまったくないカフカスの大地の誘惑に負けて、機械化移動フェイズに第17軍の3個しかいないドイツ軍機械化部隊のうちの1個をドン河の南岸に渡らせてしまったのです。この結果、ロストフまでの補給線を通すことができず、2個機甲師団が補給切れ状態になりました。そのせいで、折角史実より2ターンも早くドン河南岸に進出できたのにも関わらず、南部でまったくDriveができなかったのです。本当は、ここに第1装甲軍の1個自動車化歩兵と増援にやってきたSS自動車化歩兵をロストフ全面に投入して補給線を通すべきであったが、第1‘装甲’軍からすべての機械化部隊を引き抜くのは、ちょっと心が忍びなかったのです(笑)。とはいえ、この時の私は、まだやがて訪れる破綻に気づかずにヴォロネジと併せて獲得した50VPとせん滅した16個師団・1個司令部のソ連軍に喜んでいました。さらに、北部では機械化部隊を集結させて(複数の機械化部隊オーバーランをかけるためには移動フェイズ開始時に同一スタックでないといけません。)ターン・エンド。

第1ターン枢軸軍ターン終了後の第1装甲軍・第17軍前面。ソ連軍ターンではほとんどがロストフに援軍がまわっていません。

第2ターン枢軸軍ターン終了時の様子です。左から第1装甲軍の主力を回してロストフを補給切れ状態で占領する図、第4装甲軍が自力でソ連軍の補給妨害部隊の除去に成功する図、そして、主力を抜かれ、遅々として進撃が進まない第1装甲軍の図であります。

O氏もVP獲得都市が豊富に存在するドン河南岸をドイツ軍に蹂躙される恐怖に駆られたらしく、ここで、機甲予備6個機械化部隊のうち、もっとも強力な4個戦車軍団と指揮値5の最強司令部を急遽南下させ、ロストフ戦線を目指します。さらに、2ステップある親衛赤軍部隊を損害をおそれずに投入して南岸の枢軸軍の補給を断ち切らし、北岸で第4山岳歩兵師団と第117歩兵師団を包囲します。一方北部では、O氏は同志スターリンの声が聞こえたといい、第1ターン増援の30個師団で作った第2前線を枢軸軍のすぐ近くにまで前進させます。O氏はすぐにこの決断を後悔することになります。

第2ターンソ連軍ターン終了時の形勢。左はソ連軍2個親衛歩兵師団が英雄的にもロストフのドイツ侵略者の補給線を遮断する図、右は、わずか1ターンで地図の北端から移動してきた恐怖のソ連第1親衛軍司令部と麾下5個機械化軍団がロストフ戦線に到着する図である。

第3ターン
このターンにドイツ軍はドン河北岸に籠もっていたソ連親衛歩兵師団を除去します。しかし、その除去によって、南岸の機甲師団に補給が通ったことも完全に忘却してしまって、機械化移動フェイズで奥地へ進軍する絶好のチャンスを失います。一方、北部戦線はスターリン同志からの贈り物を有り難く頂戴して縦横無尽に突破、包囲を行います。この瞬間、私は勝利を確信したのです。

第3ターンドイツ軍ターン終了時。第4装甲軍・第6軍の機械化部隊が大突破に成功し、第1ターンに抜け出したソ連兵を再包囲します。右は、ロストフへの補給が一時的に打開した枢軸軍です。

続くソ連軍のターン、戦線を前進させたことをO氏は強く悔しみ、戦略的撤退の価値を見直します。この時点で、ソ連軍の累積損害は25個師団に及びました。しかし、喜ぶのもつかの間、4個戦車軍団の機械化予備がドン河北岸に到着、第2ターンの死闘を生き残ったソ連精鋭部隊(なぜか、ロストフ全面に配置された戦力未確認部隊の戦闘力が8とか11とか異常に高かった。)は突出してしまったドイツ軍歩兵師団を補給切れ状態に追い込んだ後で攻撃し、2個を除去しました。いくらドイツ歩兵は4ステップがあるからといって、補給切れ状態で集中攻撃されると、Deが出てきて一発退場になる危険性が残っていることがわかりました。配置ミスで歩兵師団を二個も失ったのは私の責任です。しかし、孤立した部隊でも、ドイツ軍の場合は航空補給で補給状態にできます。北部でヴォロネジの占領や遠方の鉄道線の切断に機械化師団を投入ができたのもこの航空支援があったからです。ところが、航空支援をうけるためには、20ヘクス内に自軍の飛行場があることが必要となるのですが、私はもう1個の飛行場を北部のクルスクに設置してしまいましたので、クルスクと南方の地図の間に鉄道移動(飛行場は鉄道でしか移動できない。)ができないため、南方に持ってくることができなかったのです。ですから、飛行場の配置場所についても熟慮しないといけません。というわけでドイツ軍師団が初めて除去されたわけですが、中部戦線全般でソ連軍の後退が目立っており、大量な損害を出したせいもあって第3ターン終了時にはまだ枢軸軍の優位は揺るぎません。そして、私は第1装甲軍から2個自動化歩兵師団を第17軍で運用することをきめ、運命の第4ターンに突入したのです。

第4ターンソ連軍移動フェイズ終了後の図、続く攻撃で、ドン河南岸渡河部隊が再び補給切れとなる。北部において、ソ連軍は二度目の戦略的撤退を行った。戦略的撤退は実施したターン数の半分のVPをソ連軍プレイヤーが失うので、序盤に行っても害は少ない。なお、映っている電子辞書のような機会はこの死闘をリアルタイムで記録した筆者のPOMERAです。

南岸戦線の崩壊:第4ターンソ連軍攻撃フェイズ終了時(左)に枢軸軍が後退し、続く機械化移動フェイズ終了時(右)にはドイツ軍の5個機械化師団を完全に包囲した。

第4ターン
もし、ソ連軍戦車部隊の存在とその集中運用の威力の凄まじさに気がついていたのであれば、私は、迂闊にもドン河進出部隊の側面を一個自動化歩兵師団に任せたりはしなかったでしょう。しかし、いまだソ連軍がまだらにしか存在しないカフカスの大地が目の前に広がっていると、どうしても欲が出てしまうものです。私は第4ターンの攻撃フェイズでロストフを包囲したソ連軍を排除して、南岸までの補給線を通すことに成功、続く機械化移動フェイズに2個自動化歩兵師団と一個機甲師団を南岸に渡らせ、合計5個機械化師団が歩兵随伴のない状態で南岸に突き出したわけである。中部戦線でも、4個機械化師団を使った突破攻撃が大戦果を挙げ、壊滅したソ連軍師団が36個に急増した。ここまで毎ターンに9個師団のペースでソ連軍を葬ってきたのである。ここで、O氏は第2ターンに戦線を前進させたおかげで複合陣地を構築するだけの師団数がソ連軍にはないことを思い知らされます。続くソ連軍のターンで、O氏は中部戦線前線に渡って戦略的撤退を決断します。それも、2個スタックが一つも存在しないほんの薄いものでした。一方、ドン河南岸で悲劇が起こります。ソ連軍機械化部隊6個が第60自動化歩兵師団に襲い掛かります(戦闘比5:1)。戦闘結果はD2で、続く機械化移動フェイズのオーバーランでM60の1個連隊が消滅しました。そして、ソ連軍はさらに前進してドイツ軍の4個機械化師団をドン河北岸の枢軸軍後方と隔離させます。ここにスターリングラードが再現されたといえるでしょう。ドイツ軍の機械化部隊は全部で13個しかありませんので、ここで5個も失うことはブラう作戦の失敗を意味します。そのため、私は速やかに救出作戦を展開するにしました。

第5ターン
中部戦線の装甲部隊は移動力が足りないため、このターンは歩兵部隊のハイ・スタックで南岸に橋頭堡を確保するのが精一杯でした。中部戦線では、相変わらず、枢軸軍が優勢で、退却するソ連軍を追撃して拘束する展開となりました。ソ連軍は中央では戦略的撤退を連続して用い、ロストフ全面にいた有力な歩兵師団を奥地に引き上げました。南岸の包囲網では、総力をあげて被包囲部隊を攻撃し、包囲網を縮めることに成功しました。そして、南岸におけるソ連軍も増強され、戦線を余裕で構築できるようになっていました。ここに、私は、なぜ、第17軍に機械化部隊がまったく配備されていなかったのかが分かりました。ブラウ作戦の主目標はカフカスの石油であるので、本来ならば一番南に位置する第17軍に足の速い機械化部隊を所属させてすばやい攻撃をさせるべきです。しかし、ドイツ軍の機械化部隊は数が限られていますので、第17軍に戦車を回してしまいますと、北部の進撃が弱まってしまって、北部に大量に存在するソ連軍が簡単に南部へ移動できてしまいます。そこで、作戦の序盤は機甲部隊でひたすら西進してソ連軍にプレッシャを与え、スターリングラードにソ連軍が釘付けになっている間にツィムリャンスカヤのように、ロストフではないところでドン河を南に渡るのです。第17軍は突破をするための部隊ではなく、あくまで第1装甲軍が中流地点で渡河できるように、ソ連軍部隊を惹きつけるための存在でした。


第5ターン枢軸軍ターン終了後、南岸の包囲を解くこと能はずも、北岸から1個機甲師団の渡河に成功し、橋頭堡を形成すると同時に、ソ連軍の機械化部隊をZOCで惹きつけました。

第6ターン
ドイツ軍は包囲網の内外から同時に総攻撃を開始し、包囲網を解くことに成功しました。しかし、装甲部隊の損耗は激しく、これ以上の進撃はもちろん、強大なソ連機械化部隊から戦線を死守できるかも怪しいのです。その一方で中部戦線ではソ連軍の薄い戦線に大穴をこじ開け、最も進出した部隊はスターリングラードまであと160マイルのところまで迫ります。ソ連軍はこの穴を塞ぐことができず、さらなる戦略的撤退を決断してドン河を背に最終防衛線を張ります。しかし、これが枢軸軍の最大進出線となりました。実は、これまでの激戦と南方での機甲部隊の無駄遣いで中部戦線では機動力に優れるドイツ歩兵師団の数が急速に低下していったのです。撤退したソ連軍を追いかけているうちに、歩兵の予備戦力がなくなり、戦線をこれ以上押し上げることができなくなったのです。

ソ連軍はすでに2ステップ損耗したSS自動化歩兵師団に対して集中攻撃を行い1個連隊の除去に成功した。これによって枢軸軍最強部隊であるSS自動化歩兵師団は同一師団効果を失い、機械化部隊としての突破力を失うこととなりました。中部戦線でも、枢軸軍がこれ以上進出してこないことが判明しましたので、ソ連軍は一度下げた戦線をもう一度押し上げ、ドイツ軍の機甲部隊を完全に拘束します。

第6ターン終了時。ドン河南岸に再び補給が通じるも、機械化部隊の損耗は激しく、だんだんと数を揃えてきたソ連軍部隊の波状攻撃を前に磨り減っていく。一方、中央戦線は、ソ連軍3度目の戦略的撤退。ドイツ軍は補給も兵力も限界に近づきます。(上)


第7ターン終了時、ソ連軍は戦線を押し上げる一方で、ロストフ北岸の精鋭部隊が戦略的撤退。ここにきてO氏は戦略撤退中毒の様相を帯び始めた。中部戦線で、機械化部隊と歩兵がきれいに分離してしまっている状況は簡単に確認できます。(前頁下)

ドイツ軍にはこれを救援するだけの予備もなく、戦線は膠着することとなりました。ここで、私は事実上の投了を決断して第8ターンまでネタに走る戦闘指揮を行いますが、語っても実益がありませんので、ここでは割愛させていただきます。

「Drive on Stalingrad」をプレイした感想について

 一言で言いますと、ブラウ作戦を単純なシステムでうまく表現できているというところでしょうか。包囲殲滅戦あり、陣地戦あり、撤退戦あり、攻城戦あり、突破戦ありという多様な戦場を包含したブラウ作戦を一つのシステムによって表現できたところに、PPGシステムのすばらしさが改めて感じられました。その一方で、ゲーム・デザイナーのHesselさんがプレイアビリティーを重視するPPGシステムにヒトラー命令などの修正を加えて史実になるべく近づけようとしている努力はよくわかりましたが、このゲームを進めばすすめるほど、戦史シミューレートが不可能になってしまうというのも事実です。これは、不確実性を前提とする戦力未確認ユニットと司令部補給ルールを導入したPPGシステム特有の弊害ともいえるでしょう。例えば、戦力未確認システムの中でスターリングラードでのソ連軍の死闘を可能にするために、平均して攻撃力がドイツ軍歩兵の3分の1、防禦力が2分の1のソ連軍(親衛赤軍を含む)歩兵師団の中にドイツ軍以上の戦闘力を持つ師団が13個も登場させています。この部隊をスターリングラードでないところで活用したりどうなるでしょうか。ドイツ軍ユニットの数が限られていることもあり、このような部隊を5、6個ドン河東岸・南岸に張り付けられましたら、枢軸軍はとてもスターリングラードまでいけません。そこで、司令部ユニットの指揮範囲内にいるユニットしか攻撃・補給できないとした司令部ルールをソ連軍に導入することによって、このように強く描かれすぎたソ連軍ユニットがゲームバランスを崩さないよう担保しているのです。しかし、司令部ユニットもランダムに選ぶことになっているPPGシステムでは、極めて強力な指揮値5司令部から指揮値2司令部まで能力の幅が広く、戦闘ユニット同様、期待されたターンに登場しないというランダム性がヒストリカル性を台無しにする最大の要素となっています。つまり、強力なソ連軍司令部と強力なソ連軍ユニットが序盤に登場すれば、枢軸軍軍の柔らかい脇腹ならどこでもスターリングラードにできるのです。そして、一方の枢軸軍にはこのような柔らかいわき腹はスターリングラードにたどり着く前にも十分生まれうるのです。ドイツ軍は初期配置で35個歩兵師団・3個猟兵師団・13個機械化師団であり、ゲーム中盤までに7個歩兵師団・1個機械化師団の増援を受けとるだけです。この兵力では作戦序盤の突出部のない戦線でこそ高い兵力密度を確保できますが、ドン河の湾曲部に戦線が前進する頃になると、北部ドン河戦線を維持するだけのために20個師団(さらに予備も)が必要となります。ドン河南岸でカフカス作戦を展開するために機械化部隊を6個師団・歩兵を10個師団展開しますと、スターリングラード攻略に回せる部隊が歩兵10個というぎりぎりのやりくりとなります。しかも、このゲームでは、損耗した部隊は回復できないこととなっているので、増援がソ連軍のように涌いてこない枢軸軍は損害をあまり出さないように、枢軸同盟軍を攻撃に参加させて損害を適用するか、すでに損耗したドイツ軍歩兵師団をぎりぎりまで損耗させることで、完全戦力の歩兵師団を1個でも多く保持するよう心がけるべき(ドイツ軍歩兵師団は4ステップを持っており、その戦闘力は9→4→2→1と変化します。)です。一見強そうに見える機械化部隊も、戦闘で退却する場合は相手プレイヤーによって同一師団効果が発生しない形で退却させられてしまいますので、損害を引き受けざるを得ない場合がほとんどです。つまり、機械化部隊だけのスタックは強力な突破力を持つ鋭利な刀であると同時に、損害を引き受けてくれる鞘のような歩兵部隊を随伴していなければ、すぐに錆びて使い物にならなくなるというわけです。ここに、機械化部隊と歩兵部隊が分離するリスクがよく現れています。さらに、そのゲームに登場してくるルーマニア・イタリア・ハンガリーなどの枢軸同盟国軍ユニットは、ソ連軍と同じ戦力未確認システムを使っていますが、ルーマニア歩兵師団平均戦闘力1.85,、ハンガリー・イタリア歩兵師団2、ルーマニア騎兵師団0.9と楽しませてくれるような弱さとなっています(ソ連軍の歩兵師団と騎兵師団の防禦力はそれぞれ4.7、2.3です)。
このような同盟軍は損害を肩代わりに使う以外使い道がありません。しかし、同盟軍はドイツ軍はもちろんソ連軍よりも足が遅いので、ゲームの中盤以降はそのような使い方もできず、戦力としてカウントできません。
 一方、ソ連軍の初期配置は27個歩兵・6個騎兵・5個親衛非機械化・2個機械化にすぎませんが、毎ターン平均7.3個の増援が沸いてきます。さらに、機動力に優れ、リプレイでも実力を遺憾なく発揮したソ連軍の戦車軍団はゲームの序盤からかなりの数が揃います。ソ連機甲部隊の平均攻撃力は9.3ですので、第1ターンですでに55.8攻撃力の機甲予備が存在するのです。機械化部隊の増援はそれ以降も増加して第5ターンには101.3攻撃力に増強されます。ここまでくると、平地の一個ドイツ軍師団(歩兵・機械問わず)で張り出した戦線は攻撃とその後のオーバーランでいとも簡単に食い破られます。したがって、枢軸同盟軍だけの陣地は言うに及ばず、ドイツ軍の師団も防禦地形に戦線を構築するか、後ろには穴を塞ぐための予備部隊を置くを余儀なくされます。そのため、ただでさえ、ぎりぎりのドイツ軍の台所事情はさらに悪化することになります。ということで、平地が広がるドン河とヴォルガ河の間のスターリングラード地峡を枢軸軍が守りきれる可能性は皆無ということになります。ドラスタをプレイするゲーマーでも第25ターンまでプレイした者はなかなかいないですが、Hessel氏はウラヌス作戦の成功と冬の嵐作戦の失敗を再現できるようにゲーム設計に凝ったことは間違いありません。一度そこまで体験してみたいものです。また、ソ連軍としては、これほど強力な機械化部隊を保有しているわけですから、ヴォロネジからドン河を渡って逆進撃をかけ、ハリコフを占領してサドンデス勝利&第3次ハリコフ戦の日程を早めるのも悪くありません。
 ヒトラー命令で登場する第11軍増援について。
以上のように兵員のやりくりに困った枢軸軍軍プレイヤーは第3~5ターンのヒトラー命令フェイズでヒトラー命令C・Dが発令された場合に、5個歩兵師団と1個猟兵師団を受け取ることができることになっています。しかし、この増援が実際に登場できる確率は限りなく0に近いのです。まず、C・Dを出すた確率はどの程度のVPを獲得したかに関わらず第3ターンと第4ターンではゼロです。第5ターンでは、ヒトラー命令が発令される(サイコロ1個振って奇数が出たときにのみ発令されます)勝負に勝った上で、VPが40~59か85~109ならもう一個サイコロを振って1が出た場合に命令Cが、VPが60~84なら、1か2の目で命令Cが発令されます。つまり、人事を尽くして30~54VP獲得した(ゲームスタート時の枢軸軍VPは30)としても、天命が待ちぼうけにならない確率は6分の1にすぎないのです。

最後に、
 今回のリプレイは部室に置いてあったユニットの取り出しも途中で投げ出された主不明の「Drive on Stalingrad」(サンセット・ゲームズ)を用いました。こんなにいいウォーゲームをプレイする機会を与えて下さったことに感謝の意を表すると共に勝手にユニットを切り出してプレイしたことを購入者にお詫び申し上げます。
 さらに、9時間に渡るプレイに付き合って下さったO氏及びヒトラー命令のサイコロを振って下さったA・H氏、本当にどうもありがとうございました。今後もウォーゲームをご一緒にできたらと思っています。
プロフィール

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